青山スタイル|連載コラム
天然木ならではの質感を生かしたなめらかな曲線、熟練の職人の手で磨き抜かれた曲面が「NAKATA HANGER」の神髄。そんなこだわりの逸品を作り出す中田工芸は、1946年創業の木製ハンガー専門メーカーです。1本1本、手作業で丁寧に仕上げる確かなクオリティーと機能、そしてフォルムの美しさは国内の一流ホテルやアパレル業界から絶大な信頼を得ています。今回はその中田工芸のショールームを訪問しました。

ウォルフガング・アンギャル社長
中田工芸株式会社営業部/中田修平氏
1978年、兵庫県生まれ。千葉大学在学中に米アリゾナ大学へ留学。同大卒業後、ニューヨークの会社に入社。2007 年に帰国し、中田工芸に入社。入社後、最初の仕事が青山ショールームの立ち上げだった。
洗練されたフォルムと木のぬくもり

―中田工芸はどういう会社ですか。

兵庫県豊岡市に本社がある木製ハンガーの製造メーカーです。
現在は、この青山ショールームやインターネットを通じて、小売りも展開しています。
私の祖父(中田敏雄氏)が1946 年に創業しまして、現在は父(中田孝一氏)が二代目の社長を務めています。以前は広く小間物や雑貨まで扱っていたのですが、現在はほぼ100%ハンガー専業です。

―お客さまは法人が多いのですか。

お客さまは、ユナイテッドアローズやワールドなどアパレル企業が中心です。各企業の店舗で洋服を販売するために使用する業務用のツールとしてご利用いただいています。
また、インターネットが普及し始めた2000 年に自社ホームページを立ち上げ、「ハンガーネット」というサイトで通信販売をスタートしています。08 年7 月に楽天市場に「NAKATA HANGER」を出店、10 年12 月に個人向けオフォシャルwebサイト「NAKATA HANGER.com」を開設したこともあり、エンドユーザーのお客さまの売上げは年々増加しています。

―「NAKATA HANGER」というブランドはいつから展開しているのですか。

07年7月に青山ショールームをオープンすると同時に、「NAKATA HANGER」のブランドネームでブランディングをスタートしました。それ以前は、中田工芸のハンガー、あるいはハンガーネットとして認知されてはいましたが、もっとお客さまにブランドとしてその価値を認めていただこうと、シンプルに「NAKATA HANGER」というブランド名にしました。

―「NAKATA HANGER」の特徴は?

洋服によっては繊細な生地を使用しているものもあり、ハンガーには洋服を傷めてはいけないという大命題があります。そのため、材料は主にヨーロッパ産のブナ材を使用しています。ブナは広葉樹で硬くて材質が均一ですから、きれいに磨き上げることで非常に滑らかになり、木のぬくもりを感じさせる仕上がりになるんです。また、ブナは節やヤニが少ない材質でもあります。
現在、国内で木製ハンガーを作る工場を持っているのはうち1社だけです。国内工場は小ロット短納期に対応できる強みがあります。
もちろん価格競争がありますので、現在は海外の工場と国内工場と使い分けています。
品質に関しては、60 年以上にわたってお客さまから頂いてきた意見を基に細かい品質基準を設け、1本1本のハンガーを厳重にチェックします。ほとんど素人目には分からない節も見逃しません。

―シンプルな形ですが、流線型のフォルムが洗練されていて、とても美しいですね。

NAKATA HANGER NAKATA HANGER
木ならではの質感と特性を生かしたなめらかな曲線と磨き抜かれた曲面。1本1本に職人の技が込められている。

形そのものはほぼ完成されたデザインです。人間の体は丸みを帯びていますから、それを木で表現しているんです。もちろん木工機械は使いますが、研磨からニス塗りまで全て手作業で行います。
通常のハンガーは2枚の木を中央で張り合わせて作りますが、1枚の大きな板から削り出して作るものもあります。つなぎ目のない1枚板のハンガーですね。これは十分な厚みを持つ材料が必要になりますし、それを削り出す高い技術も要求されます。

ハンガーはブランドの一部分

―ハンガーづくりで大切にしていることはどんなことですか。

業務用と個人用では、求められている機能や価値がまったく違います。
業務用だと、目的は洋服を良く見せるためのツールです。とはいっても、数ある什器・備品の中でも商品である洋服をダイレクトに掛けるものですから、アパレルの皆さんは、ハンガーに対してとても強いこだわりを持っています。
ハンガーは洋服を支えるだけでなく、ブランドのカラーやデザイン、クオリティーも表現します。さらに、ハンガーそのものにブランドのロゴが入りますから、ハンガーもブランドの一部であると私たちは捉えています。