青山スタイル|連載コラム
大人の落ち着いた雰囲気を持つ「バーバーショップいのうえ」は、創業73年の伝統が誇る技術と、高い品位と品格を備えた理容店です。お客さまも、会社経営者や弁護士など社会的地位の高い方も多いとか。今回は、同社の井上進社長と青山店チーフマネジャーの黒田稔さんにお話をお伺いしました。

黒田稔チーフマネジャー長
▲「どんなお客さまもリラックスできる、落ち着いたホテルのバーの ような理容店になれればいいなと思っています」と黒田稔チーフマネジャー。
お客さまの気分をリフレッシュするコトの提供

―「バーバーショップいのうえ」はどんなお店ですか?

<井上> 1 号店は1940 年に、東京・大手町のビジネス街にオープンしました。当時は会社のお仕事中に利用される証券マンや銀行マンのお客さまも多く、ビジネスモード中に来店されたお客さまをビジネスモードでお帰しするというのが店の方針でした。つまり、お客さまの思考を中断させないように余計なおしゃべりは控え、気分をリフレッシュしてお帰しする。現在は大手町店、有楽町店、青山店の3 店舗を展開していますが、コンセプトは今も変わりません。

―会社が大切にしているこだわりは何ですか?。

<井上>まず品位・品格、そして安心・安全です。品位を保つためには、例えば、言葉を崩さないとか、決まったおじぎの角度とかの形式的なことに加えて、お客さまの年齢に関係なく、近過ぎず遠過ぎない距離感を一定に保つようにしています。若いお客さまにも距離感を変えず、どんなお客さまでも同じように接することを心掛けています。シェービング施術は刃物を直接顔にあてますので、一定の距離感を保つ方がお客さまに信頼感と安心感を与えるのです。

―「バーバーショップいのうえ」独自の強みとは何でしょうか。

<井上>私たちは単に技術を売っているわけではありません。確かな技術を提供するのは大前提ですが、お客さまの気分を和らげたり、リラックスして差し上げたり、元気にして差し上げたりと、そのときそのときで重きを置く部分が違ってきます。その時間の対価として、例えばシェービングの価格があるのです。
お客さまが来店する動機も、求めるものも、お帰りになる際の満足度合いも千差万別ですし、同じお客さまでも来店される時期によって、あるいはその日の気分によっても違います。ですから、お客さまの表情からお客さまのお気持ちを察して、お疲れのときはマッサージを長めにするとか、記念日や特別な日を控えている方にはヘアカットを念入りにするとか、シチュエーションによってサービスのパターンを変えられるようにしています。

▲体臭は後頭部から出るため、耳の後ろや後頭部をしっかり洗うには前かがみのフロントシャンプーが適している。
▲料金は平均でメンズカット4830円、レディースシェーブ6300円、ブライダルシェーブは2万1000円。
▲メンズシェービングは20分2625円のビジネスシェーブから90 分1万5750 円のプレミアムプランまで4コース。
「積極的な受け身」と「上質のご提案」

―サービスはどういうものですか。

<黒田>男性のお客さまにはカットはもちろん、メンズエステ、スパ、ブライダルシェーブなどを数種類のコースを用意しています。
最近は男性のグルーミングという考え方が一般化して、身だしなみや肌のお手入れに気を使う方が増えています。当店でもシェービングのみのシンプルコースも用意しています。男性は顔色が黒いので産毛でくすんできれいに見えませんから、それをきめ細かく剃り、まゆもある程度まで上下を剃って整えます。その上でマッサージして血行を良くし、機械で毛穴の汚れを吸引すると、かなりクリアな顔になります。

―シャンプーは昔ながらの前かがみで洗うフロントシャンプーですね。

<黒田>それにも理由があるんですよ。男性は後頭部から体臭が出ていますから、耳の後ろや後頭部はバックシャンプーよりもしっかり洗えるのです。同時にお湯の蒸気が顔にかかるので髭が柔らかくなってシェービングとしては最適の状態になります。

―施術中はどんな会話をされるのですか。

<黒田>私たちから立ち入ったお話を聞くことはありません。会社名、仕事の内容、家族のこと、家庭環境、お住まいも一切聞きません。もちろん、宗教や政治の話はタブーです。話題はスポーツなど限られていますが、その中でマナーとしての会話が成り立つように気を使っています。私たちはそれを「積極的な受け身」と表現しています。お客さまがこうしてほしいと思っていることだけを叶えて差し上げる。
それ以上、押し売りすることはありません。ただ、カルテを作りますからお名前だけは伺っています。そのカルテにはこれまでのサービスの履歴が残っています。